わたしの絵と、すてきなはなし⑧

ある田舎の町に、
ひとりの少女がいました。
その子はとても内気で
少女漫画とお絵かきが大好き。
人の気持ちを気にすることが多くて
言いたいことが口に出せず
なぜだかいつも淋しかった。
叱られる時はいつも
「言いたいことがあるなら
はっきりと言いなさい！」
そう、言いたいことはいつも、心の中。

少女は中学生になって
「イラストレーター」という職業が
あることを知ります。
なんだかよく分からないけど
すてきな響き。
なんだか、よく、分からないけど…。

その後、少女は大人になって
「言いたいこと」を表現する
術を知りました。
ー絵を描くこと。
自分を表現すること。
うまく言葉にできないことでも
伝えることができるチカラ。
会ったことのない人とでも、
初めて会う人とでも、
コミュニケーションを
とることができる。
少女はやっと、淋しくなくなりました。


その子の夢は、まだ道半ば。

作品「クレマチスのひと」