2016年7月12日火曜日

わたしの絵と、すてきなはなし⑦

まだまだ駆け出しの頃に
いただいたご依頼の話です。

その方は既婚者の女性で、
「赤ちゃんをずっと望んでいるのだけど
恵まれないので、赤ちゃんの絵を描いてほしい」
とのことでした。
自分の子供であるように、いつも
身に着けるお財布にいれてその絵を
持ち歩きたい、と。

当時の私は結婚も出産もまだまだ
先のことでしたが、
彼女の願いがあまりにも切実で、
初対面の私に涙を見せるほど
望んでおられる姿が、とても切なく
心を打たれました。

見ながら描くお写真もなく
難しいお仕事でしたが、
その方と旦那様のお顔を参考に、
ふたりの間に産まれてくる赤ちゃんを
想像して描きました。
そして、いつか、どうか、
彼女の望みが叶って赤ちゃんが
やってきてくれますように、と
願いを込めながら。

何年も前のお話ですが、
そのご依頼のおかげで
絵には、誰かを勇気づけたり、
心の支えになったり、希望となったり、
そんなチカラもあるのだと
気づかされました。

合成写真でも、画像ソフトでもない、
手描きの絵でなければできない
仕事ではなかったか、と思うのです。

(望みは叶ったでしょうか…)



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